【文部科学省への緊急提言】新型ウィルスに関連した自粛による留学生教育への甚大な影響について

2020年3月5日

留学生教育学会       
会長 近藤 佐知彦     
(大阪大学教授)    

 米国CDCが3月1日付で「学生交流の延期もしくは中止を検討しなければならない」との勧告を発出しました。WHOとともにCDCの勧告は米国以外の政策決定にも影響大ですから、本邦高等教育機関においても受入派遣共に留学交流が大幅に減速することは避けられません。また「トビタテ!」のように、学生の自主性に任せるプログラムであったとしても、留学自体が問題視される風潮では、期間やプログラム変更などが大量に発生します。現時点で正確な予測はつかないものの、令和2年度の短期交流奨学金などについては多額の執行残が生じる可能性が極めて高いと考えられます。

 大学レベルでの留学交流の減速とともに予備教育課程(日本語教育など)や大学以外の高等教育である専門学校等での留学生受入についても配慮していく必要があります。一般に大学等に比べると経営基盤が強固とは言えないそれらの教育機関ですが、その社会的機能については、格別の注意を払って維持していく必要があります。その多くが大学等高等教育機関への私費学生リクルートの最前線を担っており、また産業界へ有能な外国人の若者を供給するゲートウェイになっているからです。

 奨学金執行残などが予想できる事態に即し、本学会はその一部を「振り替える」など柔軟に対応することを提案します。具体的には、日本社会への受け入れを司っている日本語教育機関、また「社会を共に支える仲間」としての外国人材受入の窓口としての専門学校などの維持・テコ入れが緊急の課題であると考えます。今年4月期に渡日してくる生徒は減少することは避けられません。その一方、すでに在学している生徒さん達に対し手厚いサポートが必要です。また状況が一段落したあとに外国人を受入ための枠組みを残していかねばなりません。例えば;

① 日本語学校・専門学校など大学以外の「留学生」への奨学金増額。すべての学校で日本留学の魅力を向上させ、同時に次年度以降の大学等への進学や就職の可能性を持つ者を日本国内に維持する。
② 日本語教育後に大学や就職等の「出口」が見えているような、パッケージ化されたプログラムを開発・運営する教育機関に対し支援をする。
③ 海外日本語教育機関などとも連携して、令和2年度後半以降に日本進学を希望する若者の意欲をつなぎ止める。進学先見学などを含む短期の受入機会創出も検討する。

 …以上のような施策を通じ、混乱が避けられない令和2年度においても執行残などの混乱を回避し、オールニッポンの体制を整えつつ、令和2年度後半以降の「留学交流立て直し」に向けた種を蒔く必要があると考えます。

以上